企業や社会など組織におけるあらゆる成果は全て「自分たちにとって望ましい行動の総和」に他なりません。
企業にとっては、自社商品に共感し購買する・拡散するなどの消費者行動が売上に直結しますし、社内でも、目標に繋がる行動そのものが成果を生み出します。
これはもちろん、企業だけでなく社会全体でも同じことです。環境を破壊するも守るも、全ては市民の行動によるものだからです。 だからこそ、私たちは世の中により良い行動(貢献活動)を生み出すために、行動に直接アプローチする手法を研究・実装しています。
このページでは、弊社の体験デザイン技術と既存サービスとの違いやフレームワークの詳細、実装の際のフローなどを解説しています。
人の行動・体験の変革に少しでもご関心をお持ちでしたら、ぜひ最後までご覧くださいませ。
ABFLY Worksの技術と既存サービスの違い
ここでは、弊社ABFLYWorks株式会社の体験デザイン技術と従来サービスの違いについて、詳しく解説します。
①「自分ゴト化」への考え方の違い
今までの経済学は、AIDMAのフレームでもわかるように「行動は意識に従う」という考え方を前提にしていました。
今でも「自分ゴト化することは、人の行動を変えるための手段/手法である」と考えている方は多くいます。 しかし、本当に認知が変われば行動は変わるのでしょうか?
実は 「購入したい」という欲求・意向率と、実際の購入率には因果関係がありません。 「認知を変え自分ゴト化しよう!」としても、行動にまで結びつくかはわからないのです。
弊社では 「自分ゴト化」はある体験の結果そうなった「状態」であり、人の行動を変える本質的な手法論ではないと考えています。 つまり、人を動かす本質は、ある認知を獲得するまでの一連の「体験」にあるのです。
②アプローチする対象の違い
これまでは「行動を変えるには意識を変えよ」という考えのもと、意識を対象としたソリューションが多く提案されてきました。 しかし上で述べたように、行動は完全に意識に従属するわけではありません。
特に近年UI/UXが注目されているように、 私たちは実装されている仕掛けや仕組みなど、外部環境によって大きく行動が変化する側面があります。
とはいえ、環境だけを整えて望ましい行動を引き出すのは「環境のおかげで強制的に行動が変わっている」だけで対象が自発的に行動を変えているわけではないため、そこから一歩出た瞬間に、いつもの”望ましくない”行動に戻ってしまう可能性が高いです。
これは、ナッジの成功事例として有名な「小便器にハエの絵を描くと、的に向かって小便をするので、尿が飛び散らず清掃費が浮く」事例にも通じます。
たまたま便器に的があったから小便を当てているだけで「小便が飛び散らないように気を付けよう」という内的動機づけがされていないので、別のトイレに行ったらまた小便を飛び散らしてしまうのです。
弊社ではより持続的な行動変革を行うことを重要視しています。 だからこそ、意識(内的動機づけ)と環境(外的動機付け)を同時に行うことで、より強力で継続力のある体験デザインを実現できるのです。
ABFLYフレームの内容
今までの行動経済学・ナッジ・行動デザインは「理論としては魅力的だが、まだビジネスの場で実装できるほど成熟していない」という見解がほとんどでした。
私たちはそれを、行動経済学の理論だけで実行しようとしていたことと、アイデアベースの事例が出回るばかりで人の行動を変えるために必要な要素(フロー)を明確にする人がいなかったことが原因だと考えています。
弊社では、心理学・行動経済学・行動分析学・社会システム論などの学術研究をバックボーンに、独自の体験デザイン技術を体系化しております。 弊社社名の由来にもなっている『ABFLY』フレームは、 多くの体験設計に活用できる、有用かつ汎用性の高いものです。 ここからは、それぞれの過程で行う取り組み・対象に与える内的変化を解説します。
Attractive(人の行動を誘発する”魅力”)
Attractiveでは、望ましい行動を誘発するための状況づくりをします。ここでは行動経済学の理論を活かし、こちらの意図の通りに「行動したくなってしまう」ような魅力を用意することが大切です。 例えば「困っている人がいたら、積極的に人助けできるような青年を増やしたい」場合
①対象 ②美女 ③果物入りのバッグを持ったおばあさん という要素を用意します
Behavior(引き出したい”ふるまい/行動”)
Behaviorでは、上で用意した魅力を活かして望ましい行動を引き出します。ここで使うのは、行動デザイン(ナッジ)の理論です。青年の「果物を拾わない」という選択肢を奪うわけではありませんが、つい拾いたくなってしまうような環境を用意することで対象の行動をデザインします。ここでは、以下のような行動を引き出すことが期待できます。
①坂道の上でおばあさんが果物を落とす
②「美女にモテたい(魅力的だと感じてほしい)」と思った青年は自ら果物を拾い、おばあさんに渡す
Feedback(行動の結果起きる内外の”反応”)
Feedbackでは、対象の行動に対して「良いフィードバック」を与えます。例えば、青年に対して周囲が以下のようにポジティブな反応を返すようにします。
美女「かっこいい!」
おばあさん「ありがとう、助かったよ」
Lookback(学びを生み出す”振り返り”)
自分の行動に対してポジティブな評価を受けたからこそ、Lookbackの段階では「○○をやってよかった」とポジティブな振り返りを行うことができます。この段階で参考にしている理論は「オペラント条件づけ」です。
これは、自発的もしくは道具を使って誘発した行動に対してご褒美や罰などの強化刺激を与えることで、その行動の再現性を高める考え方です。例えば、以下のような条件付けを行うことで、引き出したい行動を強化することができます。
人助けをする → 美女にモテる
困っている人を無視する → 美女に嫌われる
Yourself(新しい認知を得た状態”自分ゴト”)
Yourselfの段階に至る頃には「人助けって良いものだ」という認知を、知識として持っているだけでなく、自分の経験を通して深く実感することができています。だからこそ「その環境でないと望んだ行動を誘発できない」ような刹那的なものではなく、環境が変わっても継続的に人の行動を変え続けることができるのです。
ABFLYフレームの実装フロー
ABFLYフレームを実装する際のフローは以下の通りです。所要期間は、企業・自治体など団体の大きさやご依頼の難易度によって変動します。
- STEP . 01
- 貢献行動の定義
- 企業・組織が醸成したい行動を明確にします。
- STEP . 02
- 認識定義
- 企業・組織に浸透させたい価値観を明確にします。
- STEP . 03
- 体験シナリオ設定
- 貢献行動・認識を浸透させるためのシナリオを設計します。
-
- STEP . 04詳細の設計
- Attractive(状況の用意)Lookback(対象に起こす内外の変化)の詳細を設計します。
- STEP . 05
- 実装
- 企業・組織に実際に導入します。
- STEP . 06
- 進行・演出支援
- 体験デザイン浸透に向けての施策の進行管理や、浸透させるために必要な演出を支援します。
- STEP . 07
- 結果分析/報告
- 体験デザイン実装での成果を分析・報告します。
ABFLYWorks株式会社では、行動経済学を個人事業主や企業さまに導入する事業を行っています。お話を伺った上で施策の方向性を提案させていただく無料カウンセリングも行っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。