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行動経済学とは?経済学との違いやマーケティングに活かせる有名な理論も紹介

この記事では、行動経済学の意味や経済学との違いを簡単に解説します。マーケティング・マネジメント・自己実現などに活かせる有名な理論7つと、行動経済学をマーケティングに活かす際の注意点も紹介しますので、行動経済学の意味や活用方法にお悩みの方はぜひ参考にしてみてください。

行動経済学とは?

行動経済学を簡単に説明すると「心理学と経済学が融合した学問」です。主に、人間が感情や直感で判断した結果、人や市場にどのような影響を及ぼすのかを研究しています。

2002年に心理学者のダニエル・カーネマンとエイモス・トベルスキー、経済学者のリチャード・セイラ―によって創られました。

行動経済学と経済学の違い

従来使われてきた経済学と行動経済学との一番大きな違いは、人間を「限定合理的な感情人である」と定義していることです。

従来の経済学は「人間は必ず合理的な行動をする」という前提で研究を行っていました。

しかし現実には、全ての個人・企業が与えられた情報の中で一番合理的な道を選択して行動できるわけではありません。

「ダイエットしたいのに、唐揚げを食べてしまった」「期間限定という言葉に惹かれて、いつもより高価なお菓子を買ってしまった」など、不合理な行動をとってしまうものです。

このような、従来の経済学では矛盾が生じる非合理的な人間の行動に対応できるからこそ、行動経済学を活用することでユーザーに対してより効果的にアプローチできると考えられています。

行動経済学の有名な理論7つ

行動経済学は人間の非合理的な部分に対応できるからこそ、マーケティング・マネジメント・自己実現などあらゆる分野に活用できます。

ここからは、普段の生活に使える行動経済学の有名な理論を7つ解説しますので「自分ならどう活かせるか」イメージしながら読んでみてください。

目立つ印象で判断してしまう「ハロー効果」

「ハロー効果」とは、目立つ特徴が評価に影響を与えるという理論を指します。

例えば、会社ホームページや広告のほとんどに、世間的にイメージの良い有名人・著名人の写真が利用されています。そうすることでハロー効果が作用し、会社のイメージを自動的に上げることができるからです。

「無名の著者だが、受賞歴があるので読んでみたくなる」「書かれている機能は同じだが、家電大賞で選ばれていた炊飯器を購入した」などのケースも、同じようにハロー効果がはたらいています。

かけたコストを無駄にしたくない「サンクコスト効果」

「サンクコスト効果」とは、今までかけたコストを無駄にしたくないと思う心理を利用した理論です。

例えば、行列のできているお店を発見して「人が並んでいるんだから、おいしいに違いない」と行列に並んだとします。最初は30分で入店できると聞いたのに、35分経過しても入店できる見込みがないなら、行列から離脱し、違うお店を探す方が合理的です。

しかし、待てば待つほど「これまで待った時間を無駄にしたくない」というサンクコスト効果が働き、並んだ時間(コスト)を回収するために列から離れることができなくなってしまいます。

つまらない本を買った時に「せっかく買ったんだから」と思って最後まで読んだり、何年も着ていない服なのに「高かったから」と捨てられない気持ちになるのも、サンクコスト効果がはたらいた結果です。

もらえないリスクを嫌う「プロスペクト効果」

「プロスペクト効果」とは、得をすることより、損を避けたいという考えが強く働く心理を利用した理論です。

例えば「100%の確率で50万円もらえるか、50%の確率で100万円もらえるか」という選択肢の期待値は同じはずです。しかし、ほとんどの人は「お金をもらえない」リスクを回避したいと考え前者を選びます。これはプロスペクト効果がはたらいているためです。

ただし、100万円の借金がある人に同じ選択肢を提示すると、後者を選ぶ確率が高まることが分かっています。このように対象の状況によって選択が変わることを「参照点依存」と呼びます。

最初の印象が意志決定にまで影響する「アンカリング効果」

「アンカリング効果」とは、最初に与えられた情報が基準になり、最終的な意志決定にまで影響するという心理作用です。

例えば、コンビニで1本2,000円の缶コーヒーが売られていたら、ほとんどの人は「高すぎる」と感じるでしょう。これは、私たちの中に「缶コーヒーの適正価格は1本100~120円である」という基準があるからです。

矛盾を別の考え方で正当化する「認知的不協和」

「認知的不協和」とは、自分の認知と行動に乖離が発生するとストレスや不快感が発生する心理のことです。

この認知的不調和が発生すると、人はストレスや不快感を軽減するために認知や行動を変化させ、自分を正当化します。

例えば「ダイエット中は唐揚げを食べてはいけない」と分かっているのについ食べてしまった時、私たちは認知と行動が一致しないストレス・不快感に襲われています。だから「我慢するとストレスで太ってしまうから」などと必死に正当化しようとするのです。

目先の利益を優先する「現在志向バイアス」

「現在志向バイアス」とは、将来得られる大きな利益と今すぐ得られる小さな価値を天秤にかけると、つい後者を選んでしまう心理のことです。

例えば、学生を対象に「お金を差し上げます。今すぐに10万円か1年後に20万円、どちらが良いですか?」と聞いた実験があります。これは明らかに20万円もらえる方がお得なはずですが、10万円を選ぶ人の方が明らかに多かったのです。このように、ほとんどの人には目先の利益をつい優先してしまう現在志向バイアスがかかっています。

確実なものを好む「確実性効果」

「確実性効果」とは、事象がどの程度の確率で発生するのかを客観的な数値・確率で提示されているのに、主観的な印象で判断して合理的でない決定をしてしまう現象のことです。

例えば「必ず人気映画の標準シートのペアチケットをプレゼント」と「70%の確率で人気映画のプレミアシートのペアチケットをプレゼント」という選択肢が与えられたとします。この時、70%という高確率でプレミアシートのチケットを入手できるにも関わらず、ほとんどの人が前者を選びます。確率が高いほど、人はより確実な利益を選ぶ傾向があるからです。

一方、確率の低い選択肢を提示すると、より大きな利益を得たいという心理が働きます。「3%の確率で人気映画の標準シートのペアチケットをプレゼント」と「1%の確率で人気映画のプレミアシートのペアチケットをプレゼント」という選択肢なら、ほとんどの人が後者を選びます。

行動経済学を活用する際の3つの注意点

行動経済学は、マーケティング・マネジメント・自己実現などに活かせる理論ですが、活用する際は少し注意が必要です。ここでは、行動経済学を活用する際の注意点を3つ解説します。

理論に固執しすぎない

行動経済学で使われている理論は、きちんと実証実験が行われた上で構築されているものがほとんどです。しかし、アメリカで作られた理論が多いため、全てが日本人の心理に当てはまるとは限りません。また、企業や自治体での実証実験もまだ数少ない中なので、他社の事例を真似することも難しい状態です。

だからこそ、マーケティングやマネジメントなどに実装する際は、今ある理論に固執せず、顧客のペルソナや行動を見直すなど実際のユーザーの心理を把握することが大切です。

生みたい結果を明確化する

行動経済学は人の行動にアプローチするために有効な学問です。だからこそ、最初に「ユーザーのどのような行動を、どのように変えたいのか」明確にしないと、効果が出ない・期待と全く違う効果が出るなどの失敗に終わる可能性があります。

行動経済学を実践する際は、ユーザーのビフォーアフターの設計や、その変化をどのようなプロセスで引き起こすのか設計しましょう。

実装後の定点観測を欠かさない

行動経済学は「行動」という数値化可能なところに作用するからこそ、実装後に定点観測を追うことが大切です。例えば、複数の企業で同じように無料キャンペーンを実施しようと考えているとします。訴求に使う言葉は全て「無料キャンペーン実施中!」かもしれませんが、その企業が顧客にどんな変化を促たいと思っているかによって、活用できる理論や設計する導線は異なります。

キャンペーンを通して顧客にどのような変化を促したいのか・どの理論を使った場合どのような効果が生まれたか、など実証と記録を重ね、自社と相性の良い手法を研究を行うことが大切です。

行動経済学を導入してみませんか?

企業・社会にとっての成果は全て「望ましい行動の総和」に他なりません。

例えば、企業は自社商品に共感して購入・拡散するという行動が成果に直結します。社会においても、マイバックの導入やポイ捨ての禁止など、訴求したメッセージに共感し、行動してもらうことが結果に直結します。

だからこそ、人の行動に直接作用する行動経済学は、企業や社会にとって大きな可能性を秘めているのです。

ABFLYWorks株式会社では、行動経済学を個人事業主や企業さまに導入する事業を行っています。お話を伺った上で施策の方向性を提案させていただく無料カウンセリングも行っておりますので、まずはお気軽にお問い合わせください。

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