コラム

行動変容ステージモデルとは?具体的な使い方と人の行動を変える2つのポイントも解説

この記事では、行動変容の意味や人の行動を変えることが難しい理由を解説します。行動変容ステージモデルをビジネスの現場で使う際の具体的なアクションや実行のポイントも紹介しますので、人の行動を変えたいと悩んでいる方はぜひ参考にしてみてくださいね。

行動変容とは?

行動変容とは「人の行動が変わる」ことを意味します。1980年代前半に禁煙の研究から生まれ、成人病などの予防改善を促す技法として、主に医療の現場で使われてきました。

しかし、近年はビジネスや人材育成の分野でも多く使われるようになっています。この記事では、ビジネスの現場でも使える行動変容ステージモデルの詳細や、人に行動変容を促す際のポイントを解説します。

人の行動変容が難しいワケ

行動変容を行うには、意識の深い浸透に加えて、望ましい行動を導き出す仕掛けが必要です。人の行動変容が難しいとされているのは、長年「意識を変えれば行動が変わる」という、人の本質を捉えきれていない理論を使い続けてきたことが原因だと言えます。

人は必ずしも意識に従うわけではないため、行動を変えるやる気や行動できる環境が整っていなければ、対象の意識にアプローチしても意味がありません

また、もし研修や指導を通して一時的に望ましい行動を起こすことができるようになっても、自分ゴトとして捉えられていないので、定着させることはほぼ不可能なのが現状です。

行動変容ステージモデルとは?

厚生労働省が行っている行動変容の定義をスキル習得に変換すると以下のような内容になります。

ステージ1:無関心期

現状把握のステージ。行動変容後に起きるポジティブな変化も認識させます。

ステージ2:関心期

理想の状態を描き出すステージ。現状と理想を具体的に描き出すことで位置エネルギーを醸成し、自ら変化するモチベーションを作り出します。

ステージ3:準備期

理想にたどり着くための行動(ステップ)を具体化するステージ。細かくステップをつくることで「自分でもできそう」と感じてもらうことが大切です。

ステージ4:行動期

実際に行動してみるステージ。小さなステップを踏ませること・変化を好意的に認めることで、成功体験を積ませることが大切です。

ステージ5:維持期

望ましい行動を定着させるステージ。効果測定や適切な振り返りを行うことで、行動を定着させます。”関心期”で設定した目標を振り返って行動を褒めるだけでなく、対象が行動しやすい環境を整えることも大切です。

人に行動変容を促す、2つのポイント

人に行動変容を促す時は、以下のポイントを意識してみましょう。

「自ら行動する」ための深い意識変革を行う

今まで「意識が変われば行動が変わる」という考えのもと研修や教育が行われてきましたが、意識変革を試みても参加者の行動が変わらず悩んでいる企業は多くあります。私たちはその原因として、意識が行動につながるまでの3ステップが深く関係すると考えています。

①浅い意識変革
「正しいことを言われている」と納得はできるが、実践できるほど浸透していない
②深い意識変革
深い意識変革メッセージの重要性・必要性を自らの経験を持って体感できている
③行動
メッセージの重要性に納得し、それを実践できる環境が整ったとき、はじめて行動が生まれる

多くの組織の研修や指導を見ていると、このように「納得はできるけど、行動にはつながらない」浅い意識変革で止まってしまっているところが多く見られます。特に関心期や準備期でセットアップを行いながら、意識を行動につなげるための導線を設計してみましょう。

望ましい行動を促すための環境を整える

講義やポスターでの啓蒙を行うだけでは、望ましい行動はなかなか浸透しません。

例えば「ヘルシーなものを食べて健康になりましょう」「タバコは肺がんの原因になるのでやめましょう」と言われた場合、内容が正しいと理解できても目の前に出てくれば唐揚げを食べてしまうし、タバコがあれば吸ってしまいます。

これは、人は必ずしも合理的・論理的に意志決定をせず、むしろ感情で動くからです。だからこそ、より効果的に行動変容を行うのであれば、行動期・維持期の両方で望ましい行動を生み出すような仕掛けをつくることが大切です。特に「人に強要されている」感が出ないよう、ナッジの技法を使うことをおすすめします。

行動変容を促す際は、意識と行動の正しい設計を

人に行動変容を起こしてもらうためには、対象に強要するのではなく、無関心期・関心期・準備期を通して自ら行動したくなってしまうような深い意識変革を行うことが大切です。しかし、意識を変えるだけでは行動が伴わない可能性が高いため、行動に直接アプローチできるような仕掛けも同時に設計しましょう。

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